医療法人三輝会 稲山病院 徳島市南田宮
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>呼吸器内科

かぜ症候群

鼻やのどのなどの上気道の炎症によっておこる病気です。

原因

ほとんどはウイルスが原因です。コロナウイルス、RSウイルス、アデノウイルスなど、200種類以上あり、毎回違うものに感染することもあります。感染経路は、空気中の病原体を吸い込む飛沫感染や、手指を介する接触感染があります。

症状

鼻の症状:鼻水、鼻づまり
喉の症状:のどの痛み、のどの腫れ
発熱、頭痛、倦怠感、食欲不振、咳、痰を伴うこともあります。

診断

多くの場合、問診や診察でかぜ症候群と診断します。

治療

ウイルスが原因の場合特別な治療はなく、安静、水分・栄養補給が基本です。症状に応じた対症療法(解熱剤、鎮咳剤、去痰剤)を行ったり、細菌感染の合併が疑われる場合は抗菌剤を使用することもあります。

予防

手指衛生、うがい手洗い、マスクの着用など。
2023年9月にRSウイルスによる感染症を予防する高齢の成人向けワクチンが上市されました。

インフルエンザ

インフルエンザウイルスに感染しておこる急な発熱を伴う疾患です。一般の風邪より症状が強く、特に基礎疾患を有する方は合併症に注意が必要です。毎年冬(12月ー3月)に流行します。

原因

季節性インフルエンザを起こすウイルスにはA型、B型があります。毎回違うものに感染することもあります。感染経路は、空気中の病原体を吸い込む飛沫感染や、手指を介する接触感染があります。

症状

突然の高熱(38度以上)。
鼻の症状:鼻水、鼻づまり。
喉の症状:のどの痛み、のどの腫れ。
発熱、頭痛、倦怠感、食欲不振、咳、痰を伴うこともあります。

診断

流行状況の問診や診察で診断します。
迅速診断キットを使用することもあります。

治療

安静、水分・栄養補給が基本です。症状に応じた対症療法(解熱剤、鎮咳剤、去痰剤)を行ったり、抗インフルエンザ薬を使用することもあります。抗インフルエンザ薬には、内服薬、吸入薬、注射薬などがあります。

予防

手指衛生、うがい手洗い、マスクの着用など。
ワクチン接種(10月から12月中旬に受けることを推奨)。

細菌性肺炎

細菌が肺に感染しておこる。

原因

原因となる菌は肺炎球菌が最も多く、インフルエンザ桿菌、肺炎マイコプラズマと続く。
インフルエンザ罹患後は、黄色ブドウ球菌による2次感染が多い。

症状

咳と膿性痰、発熱を認めます。
病変が胸膜に及ぶと胸痛を伴います。
頭痛、倦怠感、食欲不振を伴うこともありますが、高齢者では症状がはっきりでないこともあり、発見の遅れにつながります。

診断

問診や診察。
胸部レントゲン写真、胸部CT、血液検査。
原因を調べるために痰を採取して検査する。
尿中の特殊な抗原を調べ診断することもある。

治療

安静、水分・栄養補給が基本です。
原因となる細菌に応じた抗菌剤を投与します。
症状に応じた対症療法(解熱剤、鎮咳剤、去痰剤)も並行して行います。

予防

手指衛生、うがい手洗い、マスクの着用など
ワクチン接種(肺炎球菌ワクチンは対象者への公費助成制度があります)

肺化膿症・膿胸

感染症などによって肺の組織が破壊され、内部に微生物や膿がたまった状態です。

原因

原因菌は複数菌の混合感染、特に嫌気性菌が多いですが、黄色ブドウ球菌などが原因となることもあります。口腔内の細菌の誤嚥や、肺以外の臓器の感染症からの波及が原因となることがあります。糖尿病、歯の病気(歯周病や歯槽膿漏など)、アルコール依存症などに多いとされています。

症状

咳と膿性痰、発熱を認めます。
喀痰はしばしば腐敗臭を伴い、血痰がでることもあります。
病変が胸膜に及ぶと胸痛を伴います。

頭痛、倦怠感、食欲不振を伴うこともありますが、高齢者では症状がはっきりでないこともあり、発見の遅れにつながります。

診断

問診や診察。
胸部レントゲン写真、胸部CT、血液検査。
原因を調べるために痰を採取して検査する。

治療

安静、水分・栄養補給が基本です。
原因となる細菌に応じた抗菌剤を2-4週間投与します。

症状に応じた対症療法(解熱剤、鎮咳剤、去痰剤)も並行して行います。
口腔ケアや虫歯の治療が重要であるため、治療と同時に口のケアを行う必要があります。

予防

手指衛生、うがい手洗い、マスクの着用など
口腔ケア
慢性疾患の治療

肺真菌症

真菌(カビ)を吸い込んで起こる肺の感染症です。

原因

真菌はいたるところに存在します。健康な人であれば真菌を吸い込んでも自分の免疫で抑えることができますが、高齢者、肺の病気の既往症がある人、喫煙歴のある人、ステロイド剤・抗がん剤・免疫抑制剤を使用している人、白血病やAIDS・喘息にかかっている人、糖尿病が悪化している人は肺真菌症感染のリスクが高くなります。

症状

咳や痰の呼吸器症状、発熱、胸痛を認めることがあります。

血痰、時に大量喀血を来たすこともあります。
頭痛、倦怠感、食欲不振を伴うこともありますが、ゆっくり進行する場合は症状がはっきりでないこともあり、発見の遅れにつながります。

診断

問診や診察
胸部レントゲン写真、胸部CT、血液検査
原因を調べるために痰を採取して検査する
気管支鏡検査で気管支内の喀痰を採取し検査することもある

治療

安静、水分・栄養補給が基本です。
抗真菌剤を投与します。
症状に応じた対症療法(解熱剤、鎮咳剤、去痰剤)も並行して行います。

予防

手指衛生、うがい手洗い、マスクの着用など
口腔ケア
エアコンや加湿器の清潔を保ち、カビの繁殖を予防する
禁煙

誤嚥性肺炎

口腔内の細菌が唾液や食べ物などと一緒に誤嚥され、気管支や肺に入ることで発症する肺の感染症です。

原因

誤嚥は、病気によって嚥下機能が障害されたり、加齢によって飲み込む力が弱くなったりすることで起こります。また、脳梗塞、喉の腫瘍、認知症のある方に多く発症します。

症状

食事中にむせを認めます。
咳や痰の呼吸器症状、発熱を認めることがあります。
倦怠感、食欲不振を伴うこともありますが、症状がはっきりでないこともあり、発見の遅れにつながります。
誤嚥は寝ている時に生じることもありますが、不顕性誤嚥といって気管に入る唾液や胃液などが少量なら誤嚥を自覚しないため、多くの場合、誤嚥性肺炎は繰り返し発症します。

診断

問診や診察
胸部レントゲン写真、胸部CT、血液検査

治療

抗菌剤を投与します。

症状に応じた対症療法(解熱剤、鎮咳剤、去痰剤)も並行して行います。

予防

口腔ケア
誤嚥防止のリハビリテーション
禁煙

百日咳

百日咳菌による痙攣性の咳発作を特徴とする感染症です。

原因

感染経路は、空気中の病原体を吸い込む飛沫感染や、手指を介する接触感染があります。
アフターコロナで百日咳は増加しています。

症状

7~10日間程度の潜伏期を経て、風邪症状のカタル期、痙攣性の咳発作が出現する痙咳期を経て、回復期に至ります。カタル期に百日咳を疑うことは難しく、長引く咳で受診され診断に至ることが多い。乳児では重症化することがある。

診断

問診や診察
胸部レントゲン写真、胸部CT、血液検査
鼻咽頭ぬぐい液のPCR検査、培養検査

治療

抗菌剤(主にマクロライド系、発症から5日以内の抗菌剤投与が有効)による治療が行われる。
症状に応じた対症療法(解熱剤、鎮咳剤、去痰剤)も並行して行います。

予防

手指衛生、うがい手洗い、マスクの着用など
百日咳含有ワクチンが有効
濃厚接触者に対して抗菌剤の予防投薬も検討される

肺結核

結核は、結核菌によって発生する感染症です。
結核菌は抗酸菌群に含まれます。抗酸菌群には他に非結核性抗酸菌、らい菌があります。

疫学

毎年新たに10,000人以上の患者が発生しており、1,500人以上が命を落としています。
2023年は全国で10,096人が結核患者として登録されています。

症状

咳や痰の呼吸器症状、発熱など風邪と同じような症状です。
体重減少、倦怠感、食欲不振、寝汗を伴うこともありますが、症状がはっきりでないこともあり、発見の遅れにつながります。

診断

問診や診察
喀痰検査
胸部レントゲン写真、胸部CT、血液検査(インターフェロンガンマ遊離試験(IGRA))

治療

結核の治療は複数の抗菌剤の内服薬を中心とし、病状や経過によりますが、おおむね6か月程度継続します。

予防

身体の免疫力を高めるため、規則正しい生活と栄養バランスのよい食事、十分な睡眠、適度な運動などが重要です。禁煙も大切です。

非結核性抗酸菌症

非結核性抗酸菌症は、非結核性抗酸菌によって発生する感染症です。
非結核性抗酸菌は抗酸菌群に含まれます。抗酸菌群には他に結核菌、らい菌があります。

疫学

NTMは、水や土壌などの自然環境やシャワーなどの生活環境にどこにでもいる菌です。
多くの人が日常的に菌を吸い込んでおり通常は病気になることはありませんが、一部の人で肺に定着して肺非結核性抗酸菌症を発症します。中高年のやせ型の女性に多く見られ、肺の病気や胃の病気、リウマチがある人はかかりやすいといわれています。

症状

長引く咳、痰
血痰、喀血
体重減少

症状のない患者さんも多くおられます。

診断

画像検査:
血液検査;MAC菌に対する抗体検査
喀痰検査:痰を採取して菌の有無を調べる。培養するため6週間程度かかることもある。

治療

明確な治療開始基準はなく、患者様の状態に合わせ総合的に判断します。
基本は内服薬ですが、他に注射剤、吸入剤などがあります。数年にわたる治療です。
薬による治療を行っても改善がみられない場合は、手術を検討する場合もあります。

肺非結核性抗酸菌症は治療によって完全に治すことが難しく、特効薬がない病気です。しかし、定期的な診察と治療によって、病気の進行を少しでもおさえていくことが大切です。

気管支拡張症

何らかの原因で、気管支の内腔が異常に広がってしまい、慢性の咳や痰など呼吸器症状がみられる病気です。気管支が拡張すると、気管支の壊れた部分に細菌やカビが増殖して炎症を起こします。

疫学

気管支拡張症の頻度については不明ながら、男性よりも女性に多いとされています。

症状

長引く咳、痰
血痰、喀血
体重減少

診断

胸部レントゲン写真、胸部CT、血液検査
副鼻腔炎を合併することがあるため耳鼻科診察も勧めます

治療

気管支拡張症自体を治療することはできませんが、悪化しないようにリハビリテーションや、薬剤を用いて喀痰の排出を促します。
マクロライド系の抗菌剤を通常より少ない量で投与することもあります。

気管支喘息

空気の通り道である気管支が炎症を繰り返すことで狭くなり、呼吸時にヒューヒュー、ゼーゼーといった音が聞こえ、呼吸困難などの発作が生じる病気です。
咳喘息といって、咳のみが症状の場合もあります。

原因

アレルギーや環境・遺伝・生活習慣など、複数の要因が重なって起こります。

症状

夜から明け方にかけて咳や呼吸困難が出現します。また季節性(春、秋など決まった時期)の発症、ストレス暴露後の発症、アレルゲン(ペット、ハウスダストなど)に暴露後の発症などが特徴的です。
一部の解熱鎮痛剤を内服することで発作が誘発されることもあります(アスピリン喘息)。

診断

問診や診察
胸部レントゲン写真、胸部CT、血液検査
呼吸機能検査、呼気ガス検査

治療

コントローラー(長期管理薬)とリリーバー(発作を抑える薬)による治療を行います。
気道の炎症を抑えるステロイドの吸入薬を中心とし、状態に合わせ内服剤、貼付剤を用います。

予防

ピークフローメーターを用い日々のコントロール状態を確認します。

肺気腫(慢性閉塞性肺疾患・COPD)

肺気腫(慢性閉塞性肺疾患・COPD)は、たばこの煙など体に有害な物質を長期間吸入することで肺に炎症を起こす病気です。

原因

最大の原因は喫煙で、日本ではCOPDの90%以上が喫煙により発症しているといわれています。

症状

歩いたり階段を使用したりする時などに息切れがする労作時呼吸困難
慢性的な咳や痰

診断

問診や診察
呼吸機能検査
胸部レントゲン写真、胸部CT、血液検査

治療

一度壊れてしまった肺は元に戻りません。よって禁煙が治療の基本となります。
禁煙に加え、気管支を広げて空気の通りをよくする薬物療法や呼吸をスムーズに行うためのリハビリテーションが行われます。

予防

禁煙、禁煙外来を受診する
手指衛生、うがい手洗い、マスクの着用など
ワクチン接種(肺炎球菌ワクチンは対象者への公費助成制度があります)

間質性肺炎

肺の間質と呼ばれる部分を中心に炎症が起こる病気です。炎症によって徐々に肺胞壁が厚く硬くなります。そうなると肺がうまく膨らまなくなります。

原因

免疫異常によるもの(自己免疫性間質性肺炎):リウマチなどの膠原病に伴う
異物の吸入によるもの(職業環境性間質性肺炎):動物の毛、アスベストなどの長期吸入でおこる
薬や放射線治療によるもの(医原性間質性肺炎):抗がん剤や抗不整脈薬、市販のサプリメントなどで間質性肺炎がおこることがあり、薬剤性間質性肺炎と呼ばれます。また放射線治療の後におこることもあり放射線性肺臓炎と呼ばれます。
感染症によるもの:特殊なウイルス感染によってひきおこされます。COVID19(コロナ)によっておこることがあります。
原因を特定できないもの(特発性間質性肺炎):様々な原因が複合的に関与します。

症状

初期には無症状であることが多く、病状が進行すると咳や息切れが見られます。
酸素が低い状態が続くと、指先が膨れ、太鼓のバチのように変形することもあります(ばち指)

診断

問診や診察
呼吸機能検査
胸部レントゲン写真、胸部CT、血液検査

治療

病型により抗線維化薬、ステロイドを使用
低酸素に対しては酸素療法(在宅酸素療法HOT)

予防

禁煙
手指衛生、うがい手洗い、マスクの着用など
ワクチン接種(肺炎球菌ワクチンは対象者への公費助成制度があります)

肺がん

気管支や肺胞の細胞が何らかの原因でがん化したものです。
組織型により非小細胞肺がんと小細胞肺がんに大きく分類されます。非小細胞肺がんは腺がん、扁平上皮がん大細胞がんに分類され、組織型によって治療法が異なります。

原因

喫煙は原因の一つです。喫煙者は非喫煙者と比べて男性で4.4倍、女性では2.8倍肺がんになりやすく、受動喫煙でも肺がんを発症するリスクは2倍程度上昇します。

症状

無症状のこともありますが、進行すると血痰、胸痛、倦怠感などをきたします。

診断

問診や診察
胸部レントゲン写真、胸部CT、血液検査
気管支鏡検査など

治療

病気の進行度合いを示すステージによって治療方針が異なり、手術治療、薬物治療、放射線治療を行います。ときに複数の治療方法を組み合わせて実施することもあります。手術治療と放射線治療はがんが限られた範囲にとどまっているときに用いる局所治療で、薬物療法はがんが全身に広がっているときに用いる全身治療になります。
薬物療法は従来の細胞障害性抗がん剤に加え、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬、抗体薬物複合体など様々な治療方法が開発されています。
病気の進行度合いを示すステージによって治療方針が異なり、手術治療、薬物治療、放射線治療を行います。ときに複数の治療方法を組み合わせて実施することもあります。手術治療と放射線治療はがんが限られた範囲にとどまっているときに用いる局所治療で、薬物療法はがんが全身に広がっているときに用いる全身治療になります。
薬物療法は従来の細胞障害性抗がん剤に加え、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬、抗体薬物複合体など様々な治療方法が開発されています。

じん肺

じん肺とは、小さな土ぼこりや金属・鉱物の粉塵などを長年かつ大量に吸い込むことで発症する肺の病気です。

原因

鉄や炭素の粉塵の曝露:職業としては「溶接工」「炭焼き」「墨製造工」
花こう岩の主成分であるシリカの暴露:職業としては「石材業・ 石工」「炭坑夫」
石綿(アスベスト)の粉塵の曝露:職業としては「石綿紡績工」「電気工事や配管の作業者」「ヒューム管やスレート板の製造作業者」「造船業」「建築工事」「鉄道車両や自動車修理工」

症状

最初は無症状ですが、やがて咳、痰が出現し、進行すると息切れが生じます。

診断

問診や診察
胸部レントゲン写真、胸部CT、血液検査
呼吸機能検査

治療

じん肺は一度発症すると根本的な治療はできません。対症療法が中心となります。
咳や痰などに対して鎮咳薬や去痰剤を用います。また、気管支拡張薬やステロイドが使用されることもあります。低酸素状態が強い場合には在宅酸素療法が選択されることになります。

予防

発症リスクを伴う職業に従事する際には、粉塵の発生を減らす努力をしたり、マスクを着用したり、曝露時間を短くしたりするなどの予防対策が重要です。

呼吸不全

呼吸不全とは、肺および心臓の機能が障害を受けることで、全身に十分な酸素がまわらなくなってしまう状態です。短時間で進行する急性呼吸不全と、徐々に進行する慢性呼吸不全があります。

原因

急性呼吸不全:肺炎、気胸、血栓症などが原因となります。外傷や重症感染症を機におこる急性呼吸窮迫症候群も原因となります。
慢性呼吸不全:肺気腫、間質性肺炎、結核後遺症など徐々に進行する肺疾患が原因となります。

診断

原因を特定するため画像検査(胸部レントゲン写真、胸部CT、心臓超音波検査など)や採血検査を行います。
また必要酸素量を決めるため、運動負荷を行っている間の酸素飽和度評価(6分間歩行検査)をおこないます。

治療

酸素の補充を目的とした治療を行います。
急性呼吸不全では、マスクやカニューレによる酸素投与や非侵襲的陽圧換気、挿管したうえでの人工呼吸管理、などをおこないます。
慢性呼吸不全では、在宅酸素療法と呼ばれる方法を導入し、家でも呼吸苦を軽減して過ごせるようにします。在宅酸素療法を行うときには必ず禁煙が必要です。

睡眠時無呼吸症候群

主に睡眠中に空気の通り道が狭くなることによって無呼吸状態(10秒以上呼吸が止まること)と大きないびきを繰り返す病気のことです。成人の5%程度に見られる比較的頻度の高い病気ですが、睡眠中の無呼吸やいびきによって良質な睡眠が妨げられ、日中の眠気による事故などにつながりやすいことが大きな問題となっています。

原因

閉塞性睡眠時無呼吸:主な原因は肥満による喉周りの脂肪ですが、顎が小さい、舌が大きい、扁桃が大きいといった生まれつきの身体的特徴や慢性鼻炎・鼻中隔湾曲症など耳鼻科領域の病気が原因となることもあります。
中枢性睡眠時無呼吸:呼吸をつかさどる延髄の“呼吸中枢”の異常によって、正常な呼吸運動ができなくなり発症します。

症状

睡眠中の強いいびきと無呼吸状態を繰り返す。
日中の眠気や起床時の頭痛。

診断

睡眠時ポリグラフ検査:睡眠の質や睡眠中の呼吸の状態を調べる検査
自宅で実施可能な簡易的な検査と入院が必要な精密検査があり、一般的には簡易検査を行って睡眠時無呼吸症候群の疑いが強い場合に精密検査が行われます。

治療

減量、生活指導
CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)
睡眠中にマスクから強制的に空気を送り込んで狭くなった気道を広げる。
マウスピース装着
顎が小さい、舌が大きいなどが原因の場合は、マウスピースの装着が行われることがあります。
手術
アデノイドや扁桃肥大、鼻中隔彎曲症などの器質的な異常が原因となっている場合は、原因を改善するための手術が行われる。